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ただならぬ気配の展覧会。




松屋銀座で開催中の「ミヒャエル・ゾーヴァの世界展」
独特の切なさに虜になった、「ちいさなちいさな王様」以来、つねに気になるアーティストのひとりです。

しかも、サブタイトルは、
"不思議な物語−ユーモアに秘められた、ただならぬ気配" !

一見美しかったり可愛らしかったりするのに、どこかがとんでもなくただならないもの、大好きなのです。
酒井駒子さん(ex.「金曜日の砂糖ちゃん」)や、キャラ・ウォーカーの作品のように・・・。

これははずせない、と思ってわくわくと出向き、ほんとにど真ん中にいろいろくらってきました!

静かで精緻な描写(風景など、宗教的な趣があるほど)。画面いっぱいに充ちる気配、丁寧にくばられた気。丁寧すぎて、ふとゆがむ次元、入れ替わる虚と実。
そのなかでちいさな存在たちが、とにかくマイペースに呼吸しているのです。

2月の窓の外には雀のかわりにペンギンが飛び交い、マダムは蛾を連れて散歩に出かけ、ビクターの犬"たち"("Their"Master'sVoice)のなかにはそっぽ向いているのもいるのです・・・。

「アメリ」に出てきたあの病気のワニや治療中の犬、奇妙な鳥、ぶたのランプも健在。まっかな壁紙のベッドルームを憶えている方も多いのではと思いますが、あの濃密な、そして病的な空間が再現されていました。

「キリンと暮らす、クジラと眠る」の挿絵では、
「ハイエナがライオンの食事のあとに来るわけではない、
ライオンがいつもハイエナの先回りをしているのだ」
ということを、背筋も凍るような街角の風景で表現したり、
「フライドポテトのラファエル・シュミッツ」では人間の食べ残したちの会話を描き、ハンバーガーの進軍やサルモネラシスターズのコンサートにスポットをあてたり。
確かな画力(「瞬間リラックス法」など、ラ・トゥール的ですらありました)によって、シュールな世界が破綻なく成立してしまっているのです。

那須田淳さんの「少年のころ」に出てくる、"疑いと怖れ"をそのままカンヴァスに定着させたかのような、四角い樹々と草原と鶏と深い穴の絵がたまらなく好きで、しばらくその前を離れがたかったです。

おもしろかったのは、空耳アワーのドイツ語版のような、
「Der weisse Neger Wumbaba (Kleines Handbuch des Verhoerens)」。(直訳すると、「白いニガー、ウンバーバ」。このタイトルも空耳のひとつ☆ )
多くの人から寄せられた、間違って憶えられていた歌詞に、ゾーヴァが絵をつけています。
「レバーソーセージ!レバーソーセージ!」と巨大なレバーソーセージを掲げて勇ましく進軍する一隊(原曲はロシア語で、普通にまじめな軍隊マーチらしい)や、
「いちご人がやってきて撮影しますと先生は言った」ということで、胴体がまるまると赤く熟したいちご人間(?)がカメラ片手に教室に乗り込んできていたりと、ナンセンスだけれど強烈な可笑しみのある、すてきなカンチガイたちがあふれていました。

そしてなにより感動したのが、下の本。

ヌレエフの犬―あるいは憧れの力
ヌレエフの犬―あるいは憧れの力

20世紀を代表するバレエダンサー、ヌレエフ。私も子供のころから大ファンでした。来日公演(ドン・キホーテ)の際に運良く子役ダンサーとして同じ舞台にあがることができ、握手をしてもらった体験が忘れられません。
亡くなった時はショックで呆然としてしまいました。
そんなヌレエフの忘れ形見のわんこ、オブモーロフが主人公の絵本です。実在のアーティストたちもちょこちょこ出てきます。
彼がいかに愛されていたかがよくわかる作品です・・・。

とにかくもりだくさんで、体の芯までゾーヴァワールドに浸ることのできる展覧会でした。(ドイツ好きの方には、KaDeWeなど、ドイツの日常の要素がさらりと織り込まれているので、そちらからも愉しめると思います!)


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2006/01/25 12:12 AM
松屋銀座で開催で今日まで開催の 「不思議な物語―ユーモアに秘められた、ただならぬ気配  ミヒャエル・ゾーヴァの世界」展に行って来ました。 金曜日に仕事上で大変なミスをしでかしてしまいました。 能天気な自分も流石にショック[:モゴモゴ:] 土曜日は
弐代目・青い日記帳